statistics and current TCP/IP connections using NBT YUKI.N>このプログラムが起動するのは一度きりである。\r\n実行ののち、消去される。\r\n\r\n非実行が選択された場合は起動せずに消去される。\r\n\r\nREADY?__ YUKI.N>これは緊急脱出プログラムである。\r\n\r\n起動させる場合はエンターキーを、\r\nそうでない場合はそれ以外のキーを選択せよ。\r\n\r\n起動させた場合、\r\nあなたは時空修正の機会を得る。\r\nただし成功は保証できない。\r\nまた帰還の保証もできない。 情報生命体である彼らは、有機生命体と直接的にコミュニケートできない。言語を持たないから。人間は言葉を抜きにして概念を伝達する術を持たない。だから私のような人間用のインターフェースを作った。情報統合思念体は、私を通して人間とコンタクトできる。 それでも統合思念体の一部は、彼女こそ人類の、ひいては情報生命体である自分たちに自律進化のきっかけを与える存在として、涼宮ハルヒの解析を行っている。 そして三年前、惑星表面で他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。弓状列島の一地域から噴出した情報爆発は瞬く間に惑星全土を覆い、惑星外空間に拡散した。その中心にいたのが涼宮ハルヒ。以後三年間、あらゆる角度から涼宮ハルヒという個体に対し、調査がなされた。しかし未だその正体は不明。 宇宙に遍在する有機生命体に意識が生じるのはありふれた現象だったが、高次の知性を持つまでに進化した例は地球人類が唯一だった。統合思念体は注意深く、かつ綿密に観測を続けた。 現有生命体が地球と呼称するこの惑星で進化した二足歩行動物に知性と呼ぶべき思索能力が芽生えたことによりその重要度は増大した。もしかしたら、自分たちが陥っている自律進化の閉塞状態を打開する可能性があるかもしれなかったから。 情報統合思念体にとって銀河の辺境に位置するこの星系の第三惑星に特別な価値などなかった。 YUKI.N> sleeping beauty_ YUKI.N>また図書館に__ YUKI.N>もう一度こちらへ回帰することを\r\n我々は望んでいる。\r\n涼宮ハルヒは重要な観察対象。\r\nわたしという個体も\r\nあなたには戻ってきて欲しいと感じている。 YUKI.N>あなたに賭ける。 YUKI.N>それは情報統合思念体にも\r\nない力。\r\nこの情報創造能力を解析すれば\r\n自律進化への糸口が\r\nつかめるかもしれないと考えた。 YUKI.N>涼宮ハルヒは\r\n何もない所から\r\n情報を生み出す力を\r\n持っていた。 YUKI.N>どうにもならない。\r\n情報統合思念体は失望している。\r\nこれで進化の可能性は失われた。 YUKI.N>そっちの時空間とは\r\n まだ完全には連結を絶たれていない。\r\n でも時間の問題。\r\n そうなれば最後。 YUKI.N>みえてる? あなたと涼宮ハルヒは2時間30分この世から消えていた。 YUKI.N>これをあなたが読んでいる時、\r\n わたしはわたしではないだろう。\r\n\r\nYUKI.N>このメッセージが表示されたということは、\r\n そこにはあなた、わたし、涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、\r\n 古泉一樹が存在しているはずである。\r\n\r\nYUKI.N>それが鍵。\r\n あなたは回答を見つけ出した。 ありがとう。 伝える。 情報統合思念体。私が再び異常動作を起こさないという確証はない。私がここに存在し続ける限り、私の内部のエラーも蓄積し続ける。それはとても危険な事。 私の処分が検討されている。 仮に私が事前にそれを伝えていても、異常動作した私はあなたからその記憶を消した上で、世界を変化させていただろう。また、実際そうしなかったという保証はない。私にできたのは、あなたが可能な限り元の状態のまま12月18日を迎えるように保持する事だけ。 分かっていた。 全ての責任は私にある。 私のメモリ空間に蓄積されたエラーデータの集合が内包するバグのトリガーとなって異常動作を引き起こした。それは、不可避の現象であると予想される。私は必ず三年後の12月28日に世界を再構築するだろう。対処方法はない。なぜなら、そのエラーデータが何なのか今の私には不明。 待っている。 別にいい。 私は初めて。 あなたも。 対情報操作用遮蔽スクリーンと防護フィールドをあなたの体表面に展開させた。 手を。 そのままではあなた達も時空改変に巻き込まれる。対抗処置を施す。 目標の時空間座標を伝える。 そう そう それは…… 短針銃。針の先端にプログラムを塗布してある。 着衣の上からでも成功率は高いが、できれば直接皮膚に撃ち込む事が望ましい。 そう。 時空改変者に再修正プログラムを注入。 調合する。 エマージェンシーモード。 彼らを放置できない。 私は行けない。 世界を元の状態に戻すには、12月18日へ行き、時空改変者が当該行為をした直後に再修正プログラムを起動すればいい。 そう。 この事態を引き起こした時空改変者は、涼宮ハルヒの情報創造能力を最大限利用し、世界を構成する情報を部分的に変化した。故に、改変後の涼宮ハルヒにはなんの力も残っていない。その時空には情報統合思念体も存在しない。時空改変者が涼宮ハルヒより盗み出した能力により修正した過去記憶情報は、今この時点から約三年五か月後の12月18日を起点とした、過去365日の範囲。 同期不能。その時代の時空連続体そのものにアクセスできない。私のリクエストを選択的に排除するためのシステムプロテクトが掛けられている。だが事情は把握した。再修正可能。 確認する。 開かない。その部屋の構造体ごと時間を凍結している。 了解した。 ない 私の言葉が真実であるという保証も、どこにもないから。 私がどんな真実を告げようと、あなたは確証を得ることができない。 古泉一樹の言葉が真実であるという保証はどこにもない。 古泉一樹と朝比奈みくるは、互いに相手の解釈を決して認めることはない。彼らにとって異なる存在の理論は、自分たちの存在基盤を揺るがすものに他ならないから。 そう。彼女は、彼女が帰属する未来時空間を守るためにこの時空に来ている。 朝比奈ミクルの主張はこうだと思われる。涼宮ハルヒが創造したのではなく、世界はこのままの形で以前から存在していた。超能力や時間移動体、概念型地球外生命体などの超自然的存在は元々そこにいたのである。涼宮ハルヒの役割は、それらを自覚無しに発見する事であり、その能力は3年前から発揮されている。ただし彼女は、世界の異常を探知できるが、決して認識することはない。認識を妨害する要素もまた、ここに存在するからである。それが我々。 食らうがいい。 知っている。 次元振動周期を移送変換し、重力波に置き換える作用を持つ力場を体表面に発生させた。 レーザーは拡散し、無害化するように設定した。今度は、超振動性分子カッター。 迂闊。 彼には貴重な価値があるのだ。その一環として、まず地球を侵略する。 ない。ただの装飾品。 ない。現在の朝比奈みくるは通常の人類であり、それ単体では一般人と何ら変化はない。 熱線ではない。フォトンレーザー。 粒子加速砲ではない。凝集光。 すぐに修正する。 そう。 とても強力。咄嗟の事。 シールドし損ねた。 そう。 高い指向性を持つ、不可視帯域のコヒーレント光。 レーザー。 これ。 知らない。 いい。撃って。 そう。 そう。 占い。 はい。 必ずしもそうではない。15532回中、盆踊りに行かなかったパターンが2391回目と11054回目の二回ある。また、盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかったパターンが437回ある。アルバイトを行ったのは9056回であるが、その内容は六つに分岐する。風船配り以外では、荷物運び、レジ打ち、ビラ配り、電話番…… そう。 今回が15532回目に該当する。 そう。 そう。 はい。 これ。 いい。 そう。 元気。 私の役目は観測だから。 そう。 必ずしもそうではない。15527回中、盆踊りに行かなかったパターンが2391回目と11054回目の二回ある。また、盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかったパターンが437回ある。アルバイトを行ったのは9052回であるが、その内容は六つに分岐する。風船配り以外では、荷物運び、レジ打ち、ビラ配り…… そう。 今回が15527回目に該当する。 そう。 そう。 買った。 これ。 いい。 そう。 元気 必ずしもそうではない。15524回中、盆踊りに行かなかったパターンが2391回目と11054回目の二回ある。また、盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかったパターンが437回ある。アルバイトを行ったのは…… そう。 今回が15524回目に該当する。 そう。 そう。 買った。 これ。 いい。 元気。 私の役目は観測だから。 そう。 必ずしもそうではない。15521回中、盆踊りに行かなかったパターンが2391回目と11054回目の二回ある。また、盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかったパターンが437回ある。アルバイトを行ったのは9048回であるが、その内容は六つに分岐する。風船配り以外では、荷物運び、レジ打ち、ビラ配り、電話…… そう。 今回が15521回目に該当する。 そう。 そう。 買った。 これ。 いい。 元気。 私の役目は観測だから。 そう。 必ずしもそうではない。15513回中、盆踊りに行かなかったパターンが2391回目と11054回目の二回ある。また、盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかったパターンが437回ある。アルバイトを行ったのは9031回であるが、その内容は六つに分岐する。風船配り以外では、荷物運び、レジ打ち、ビラ配り、電話番…… 必ずしもそうではない。 そう。 今回が15513回目に該当する。 そう。 そう。 買った。 これ。 いい。 そう。 元気。 必ずしもそうではない。15499回中、盆踊りに行かなかったパターンが2391回目と11054回目の二回ある。また、盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかったパターンが437回ある。アルバイトを行ったのは9026回であるが、その内容は六つに分岐する。風船配り以外では、荷物運び…… そう。 今回が15499回目に該当する。 そう。 そう。 買った。 これ。 いい。 必ずしもそうではない。15498回中、盆踊りに行かなかったパターンが2391回目と11054回目の二回ある。また、盆踊りに行ったが金魚すくいをしなかったパターンが437回ある。アルバイトを行ったのは9025回であるが、その内容は六つに…… そう。 今回が15498回目に該当する。 そう。 そう。 買った。 これ。 いい。 そう。 元気。 はい。 そう。 買った。 これ。 そのうち分かる。 無矛盾な公理的集合論は自己そのものの無矛盾性を証明できないから。 そう。 「私はここにいる」、そう書いてある。 別にいい。 そうでもない。今回のは特別。エマージェンシーモード。滅多にない。余程の事がないと。 そう。 そう。 選択時空間内の流体情報を凍結、帰す時空連続体の該当ポイントにおいて凍結を解除した。 寝るだけ。 寝て。 そう。 そう。 形は必要ではない。同一の情報が行き来できれば十分。 TPDDを用いた有機生命体の転移には、許容範囲ではあるがノイズが発生する。我々にとってそれは完全な物ではない。 役目だから。 時間を移動する方法は一つではない。TPDDは時空制御の一デバイスでしかない。不確かで原始的。 そう。 してない。今の私は待機モード。 同期した。 そう。異時間同位体の当該メモリーアクセス許可申請。時間連結平面体の可逆性越境情報をダウンロードした。現時点から三年後の時間平面上に存在する私と現時点にいる私は同一人物。記憶を共有した。 理解した。 そう。 たまになら。 問題ない。そちらに追い込む。 そう。 あなたの指示に違反する事はない。地球の現代技術レベルに則ってプログラムに修正を施したいと思う。条件を対等にするだけ。許可を。 そう。我々には敗北以外の選択肢がなかった。それを是正した。 彼らの索敵モードがオフになっている。マップ全域の全てが、我々の位置を含めて最初から丸見え。 インチキと呼ばれる行為をしているのはコンピュータ研の方。 していない。特別な情報操作を行っているわけではない。課せられたルールを順守している。 なに? 電子戦開始。電磁ブースター最大、全ECM、ECCM作動 敵艦隊、黄道8時20分、距離6.3天文単位、光速の約60%で本艦隊に接近中。総数が約15000隻。 あなた、5分15秒後にソフトクリームを買って、5分28秒後にそれを足に落とし、7分6秒後に看板に頭をぶつけ、その際彼女と交錯して転倒、彼女のバッグから所持品が散乱し、7分51秒後に彼女と…… 無念。 食らうがよい、古泉一樹、あなたの意思は私の思うがままになるであろう。 今のは腹話術。 ここが年貢の納め時だ。観念するがいい。 その時は遠からず来るだろう。しかし、今でない事も確かだ。我々は情報の不足を何よりも瑕疵とする習慣がある。可能性の段階では明確な行動をとることはできないのだ。 今言えるのは、あなたの選択肢は二つあるということだ。私と共に宇宙をあるべき姿へと進行させるか、彼女に味方して未来の可能性を摘み取るか。 待つがよい。古泉一樹、あなたは彼女を選ぶべきではない。あなたの力は私と共にあって、初めて有効性を持つことになるのである。 ここはひとまず退散しておく。けれど次はそうはいかないのだ。その時までに自分の戒名を用意することだ。今度こそ、私は容赦なくお前を打ち滅ぼすだろう。 こうするのだ。 強引な手を使ってでも、私はあなたを手に入れるだろう。 あなたには隠された力があるので、私はそれを狙っている。 そう。 私は魔法を使う宇宙人である。 内側からドアを開くことについては、何も指示されていない。 そうは言われなかった。私が言われたのは、誰に対してもこの扉を開けてはいけないという指示。 それでは、誰が来ても開けるなという命令に反する事になる。 誰が来ても開けるなと言われている。 わかった。 大好き。 大好き。 この情報生命体は、ハイパーリンクをあちこちに張って増殖する。サインを見た人間の脳へ自情報を複写し、限定空間を発生させる仕組み。 起源は同じ。だが異なる進化を遂げ、そして滅亡した。 情報生命体。 この紋章は地球の尺度に換算すると約436PBの情報を持っている。 約二億八千万年前の事になる。地球に降下したそれは地球に自分が存在できるような手段がなかった為、自己保存の為の冬眠についた。人間によってコンピュータネットワークが生み出されると、それは半覚醒状態となり、そして、通常の数値では測り得ない異界の情報データによって目覚めた。 違わない。 そのよう。 情報生命体の亜種。男子生徒の脳組織を利用し、存在確立を高めようとしている。 原因は別。でも発端は彼女。 この空間の創造主。 おでまし。 なにも。 pausing interval seconds between display 無視できるレベル。彼女がトリガーとなっただけ。 似て非なる物。ただし空間データの一部に涼宮ハルヒが発信源らしいジャンク情報が混在している。 進入コードを解析。通常空間と重複。位相がずれているだけ。 そう。 この部屋の内部に局地的非侵食性融合異時空間が制限モードで単独発生している。 次元断層が存在。位相変換が実行されている。 出たほうがいい。 そう。 ホーミングモード これ。属性情報をブースト変換 いい。 数百年から一万年。 局地的な環境情報の改竄は惑星の生態系に後遺症を発生させる可能性がある。 できなくはない。ただし推奨はできない。 大丈夫。私がさせない。 結構。 気を付けて。 お礼ならいい。朝倉涼子の異常動作はこっちの責任。不手際。 ない。 そう。 言語では概念を説明できないし、理解もできない。 私にはできない。でも時間移動はそんなに難しいことではない。 朝比奈みくるの異時間同位体。朝に会った。 任せて。情報操作は得意。朝倉涼子は転校したことにする。 面白い人。 そう。 眼鏡属性ってなに? 眼鏡の再構成を忘れた。 処理能力を情報の操作と改変に回したから、このインターフェースの再生は、後回し。今、やってる。 いい。肉体の損傷は大したことない。正常化しないといけないのは、まずこの空間。不純物を取り除いて、教室を再構成する。 あなたはとても優秀。だからこの空間プログラムを割り込ませるのに今までかかった。でももう終わり。 違う。情報連結解除開始。 終わった。 あなたは動かなくていい。平気。 SELECT シリアルコード FROM データベース WHERE コードデータ ORDER BY 攻性情報戦闘 HAVING ターミネートモード パーソナルネーム 朝倉涼子を敵性と判定 当該対象の有機情報連結を解除する。 離れないで。 情報結合の解除を申請する。 情報結合を解除する。 あなたは私のバックアップのはず。独断専行は許可されていない。私に従うべき。 一つ一つのプログラムが甘い。側面部の空間も情報封鎖も甘い。だから私に気付かれる。侵入を許す。 そう。 なに? 情報統合思念体が地球に置いているインターフェースは、私一つではない。情報統合思念体の意識の一部は、積極的な動きを起こして情報の変動を観測しようとしている。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。危機が迫るとしたら、まずあなた。 彼女はあなたがもたらした情報を重視したりしない。 勿論。情報統合思念体の意識の大部分は涼宮ハルヒが自分の存在価値と能力を自覚してしまうと予測できない危険を生む可能性があると認識している。今はまだ様子を見るべき。 ある。あなたと涼宮ハルヒが全ての可能性を握っている。 信じて。あなたは涼宮ハルヒに選ばれた。涼宮ハルヒは意識的にしろ無意識的にしろ、自分の意思を絶対的な情報として環境に影響を及ぼす。あなたが選ばれたのには必ず理由がある。 涼宮ハルヒは自律進化の可能性を秘めている。恐らく彼女には、自分の都合のいいように周囲の環境情報を操作する力がある。それが私がここにいる理由。あなたがここにいる理由。 私の仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること。生み出されてから三年間、私はずっとそうやって過ごしてきた。この三年間は特別な不確定要素がなく、いたって平穏。でも、最近になって無視できないイレギュラー因子が涼宮ハルヒの周囲に現れた。それが、あなた。 通俗的な用語を使用すると、宇宙人に該当する存在。 性格に普遍的な性質を持っていないという意味ではなく、文字通りの意味で彼女と私は、あなたのような大多数の人間と同じとは言えない。この銀河を統括する、情報統合思念体によって作られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。それが私。 そうじゃない。 涼宮ハルヒと私は、普通の人間じゃない。 うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でも、聞いて。 涼宮ハルヒのこと。そして、私のこと。あなたに教えておく。 おいしい? 飲んで。 そう。 最初から、私しかいない。 いない。 こっち。 今日読んで。帰ったらすぐ。 返さなくていい。 本。 読んだ? これ、貸すから。 なにも。 わりと。 全部。 ユニーク。 どうぞ。 べつに。 いい。 長門有希。 情報統合思念体が地球に置いているインターフェースはわたし一つではない。統合思念体の意識には積極的な動きを起こして情報の変動を観測しようという動きもある。あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。危機が迫るとしたらまずあなた。 あなたが彼女に言ったとしても彼女はあなたがもたらした情報を重視したりしない。 統合思念体の意識の大部分は、涼宮ハルヒが自分の存在価値と能力を自覚してしまうと予測できない危険を生む可能性があると認識している。今はまだ様子を見るべき。 もちろん。 ある。多分、あなたは涼宮ハルヒにとっての鍵。あなたと涼宮ハルヒが、すべての可能性を握っている。 あなたは涼宮ハルヒに選ばれた。涼宮ハルヒは意識的にしろ無意識的にしろ、自分の石を絶対的な情報として環境に影響を及ぼす。あなたが選ばれたのは必ず理由がある。 信じて。言語で伝えられる情報には限りがある。わたしは単なる端末、対人間用の有機インターフェースにすぎない。統合思念体の思考を完全に伝達するにはわたしの処理能力ではまかなえない。理解して欲しい。 涼宮ハルヒは自立進化の可能性を秘めている。おそらく彼女には自分の都合の良いように周囲の環境を操作する力がある。それが、わたしがここにいる理由。あなたがここにいる理由。 情報生命体である彼等は有機生命体と直接的にコミュニケート出来ない。言語を持たないから。人間は言葉を抜きにして概念を伝達するすべを持たない。だから情報統合思念体はわたしのような人間用のインターフェースを作った。統合思念体はわたしを通して人間とコンタクト出来る。 そして三年前。惑星表面に他では類を見ない異常な情報フレアを観測した。弓状列島の一地域から噴出した情報爆発は瞬く間に惑星全土を覆い、惑星外空間に拡散した。その中心にいたのが涼宮ハルヒ。 情報の集積と伝達速度に絶対的な限界のある有機生命体に知性が発言することなんてありえないと思われていたから。統合思念体は地球に発生した人類にカテゴライズされる生命体に興味を持った。もしかしたら自分たちが陥っている自律進化の閉塞状態を打開する可能性があるかもしれなかったから。 わたしの仕事は涼宮ハルヒを観察して、入手した情報を統合思念体に報告すること。生み出されてから三年間、わたしはずっとそうやって過ごしてきた。この三年間は特別な不確定要素がなく、いたって平穏。でも、最近になって無視できないイレギュラー因子が涼宮ハルヒの周囲に現れた。それが、あなた。 そうじゃない。性格に普遍的な性質を持っていないという意味ではなく、文字通り純粋な意味で、彼女とわたしはあなたのような大多数の人間と同じとは言えない。この銀河を統括する情報統合思念体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。それが、わたし。 涼宮ハルヒとわたしは普通の人間じゃない。 うまく言語化できない。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない。でも、聞いて。 涼宮ハルヒのこと。それと、わたしのこと。……あなたに教えておく。 おいしい? 飲んで。 最初から、わたししかいない。 いない。 座ってて。 中へ。 入って。 誰もいないから。 わたしの家。 ここ。 こっち。 午後七時。光陽園駅前公園にて待つ。 帰ったらすぐ。 今日読んで。 返さなくていい。 そう。 本読んだ? それ。 貸すから。 これ。 何も。 ……。 わりと。 ぜんぶ。 ユニーク。 どうぞ。 別に。 いい。 長門有希。