なんなんだろう……これ……。 うん……。 かなぁ……。 ――大丈夫だよ、若留ちゃん。 えへへ。 ニャ〜ン。 に、ニャ〜ン。 こっちこっち、ほら。あそこに怪しい人がいるの。 ニャ〜。 おーい、若留ちゃん。 ええっ、待って下さいよぉ〜! もう……先輩、最近なんだかすごく明るくなったような気がします。というか意地悪になった! も、もうやめてくださいよぉ〜私そういうの本当に苦手なんですから! わひゃあ!? へ……? 聞こえなくなったのならいいことなんじゃないですか? え、えっと……お化けがお腹をすかせてる音でしたっけ? なんですか、それ? 私、実は今不安で、すごく緊張してて……。高校生活、これからうまくやっていけるかなって……。 あ、あはは……なんでもないです。でもよかったです。ここで先輩に会えて。 ……流石は親子ですね。 女の子らしい名前ですかー。それじゃあもし女の子が産まれたら、先輩ならどんな名前をつけます? 時野遥時って珍しいし、素敵な名前ですよ! なんというか、ナウい? みたいな。 えー、でも格好いいじゃないですか。遙かなる時で、『はると』って。というか、私はむしろ下の名前で読んでほしいですけど……。 遥時せんぱ〜い! 細いもの、落ちてないかな……? 取るのは難しそうだね……。 わかんない。でも、きっと……どこかで笑ってるんじゃないかな。 ふーん……。 えっと、それって……。 にゃあ。 うん、そうだね……。 あはは……おっきなたんこぶだね。 朝日、きれいだね。 平気……? 出られたら……いいよね……。 見つかるといいよね……! ほら、座って。 若留、少し休んだほうがいいよ。 そんな……。 えっ……? …………。 月 日( )\r\n\r\nつらい\r\n\r\nくるしい\r\n\r\nたすけて\r\n\r\nたすけて\r\n\r\nたすけ―・ 四月二十四日(土)\r\nもっとみんなと遊びたかった\r\n高校生をやっていたかった\r\nお父さん\r\nお母さん\r\n\r\nだれかたすけて 四月十九日(月)\r\nおなかがへって\r\nもう動けなくなってきた\r\n\r\nお水だけ飲んでなんとか生きてる。\r\n\r\n光るタマゴみたいな機械のそばが\r\n一番あったかい。\r\n\r\nそこで寝ています。 四月十八日(日)\r\nお弁当の残りも、もうなくなっちゃった。\r\nこのまま出られないのかな……\r\nなにか変なところを押しちゃったみたいで\r\n不気味な音がなるようになった。\r\nとまんないし気持ち悪い。早く帰りたい。 四月十七日(土)\r\nあれから一日たったけど助けは来ない。\r\nもしかして、みんなわたしのこと\r\nわすれちゃってるのかな…… 四月十六日(金)\r\nまた迷子になってしまった。\r\nここはどこだろう……\r\n穴から落ちた時に打ったおしりが痛い。\r\n今までで一番ひどい迷子だよ……\r\n\r\n助けを呼んでみたけど、\r\n外に声は届いてないのかも。\r\nどうしよう……\r\n考えてもしょうがないし、\r\n疲れたのでそろそろ寝ます。 四月十四日(水)\r\n日記と現実の自分の性格の差が\r\nつらくなってきた。\r\nもっと前向きで明るい性格になりたい…… 四月十三日(火)\r\nそろそろ部活に入ろうかなー\r\nなんて、考えてたけど\r\nやっぱりもうしばらくは考えよう。\r\nめっちゃ悩む〜 ・四月九日(金)\r\n入学早々、遅刻してしまった。\r\n素直に「迷子になったんです」って\r\n言ったんだけど、先生に怒られた。\r\nみんなに笑われちゃった。\r\nはずい……\r\n穴があったら入りたい……\r\n\r\n早々って書いたけど、\r\nもうちょっとで入学して一週間だった。\r\nいいかげん通学路を覚えないとなあ。 四月五日(月)\r\n入学式無事終了!\r\n友達も出来てよかった!\r\n緊張したけど自己紹介もうまくできたし、\r\nなんかいいことあるかも!\r\nがんばろー! 四月四日(日)\r\n明日からいよいよ高校生!\r\n頑張るぞー! たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて なんだか頭痛くなってきちゃった……。 わたしはちょっと怖いけど……。 何事もなければいいよね……。 ここって……。 やったね、若留。 よかったね、若留。 模様が数字になったりするのかな……。 どきどき、だね……。 どこか動くようになったのかな……? い、いきなり指を突っ込んだ……!? そうだよね……。 若留、がんばって解こう? このボタンを押すと、緑色だけ動かないんだね……。 どういうことなんだろう……? い、いったん落ち着こうよ……。 なんだかパズルみたい……。 わわっ……!! バーとも仲良くしなきゃ……だね。 私も建物だと思っちゃった……。 わ、若留だけじゃないかな……? そうだったんだ……。 それになんだか……あの奥、怖いよ……。 なんだか……怖いよ……。 そんな事情があったんだ……。 わたしもそう思うなぁ。 わわっ……。 これ……わたし、どこかで……。 それを基準にあわせてもいいかも……。 うん……。 不思議……だね。 若留、探したよ! 本当に無事でよかった……! 非常用なのに、鍵つけちゃダメじゃないかな……。 灯りはまだ点いてるんだね。 そうだよね……。 どうしたの、若留? 若留はこういうところ几帳面だよね。 これは一本取られたね。 妙なでっぱりがあるね。 確かにしたけど……。 うんうん。 つ、つけ直すとか……!? 忘れてたんだね……。 が、がんばってね……。 やったね、若留。 ゆ、幽霊!? やめてよ若留ぅ……。 で、でも……。 そうだね……。 元気だそう? 若留……。 うわぁっ。 ふふ……本当にそうだね。 わぁ……! わたしが見たの、これかも……。 若留らしいね。 ど、どうしよう! は、犯人……!? う、うん……。 レッツゴーだよ、若留。 動いたんだし、一歩前進じゃないかな……。 そうかも……! どこが正解なのかな……? あ、本当だ。 ふふ、若留引っかかっちゃったね。 わたしも……。 これじゃあ、発電機がちゃんと動かないのも当然かも……。 うんうん。 やったね、若留。でも、どうして? こんなところに、なんであるのかな……? 若留は博識、だね。 そうだと思うよ。 若留ったら……。 たぶんそうかも……。 手詰まり、かも……。 あ、焦らないで、若留。 他に問題があるとしたらどこなのかな……? え? ば、ばくはつ……!? 若留はこういう仕組みの勉強、好きだもんね。 そういうものかなぁ……? じゃあ、なんでだろう……? まだ残ってたんだね……。 残念なお知らせだよぅ……。 ノ、ノリノリだね若留。 うん、わたしもみたことあるよ。 ちょ、ちょっと不気味かも……。 綺麗だけど……。 自分から行くよね……? 若留が止まるとも思えないけどね……。 分解したくなっちゃった? 無変化よりは、全然いいもんね。 なんだか不思議な感じだね。 メーターが付いてるから、たぶんそうかも……。 や、やだ。やめてよ、若留。 しかたないよ、若留。 でも、こういう風にくまなく調べるのはいいことだと思うよ。 ……だよね。 それじゃあ、開かないのはなんで……? やったね、若留。 あ、あれ……? 若留の得意分野だね。 電気があれば、できることも増えるね。 あいつら……? 学校のライフラインだったんだね。 ふ、振り回したりしないでね……? 機械、みたいだけど……。 わ、若留……? そういうふうに言われると、なんだかちょっと可哀想かも……。 う……うそ……? 停止スイッチは……!? そうかなぁ……? そっかぁ……残念。 がんばって、さがそ? 学校、だよ? 壊せるようなものもないよ……。 ネズミに変身した若留って、ちょっとみてみたいかも。 避難訓練思い出すね……。 力づくじゃ無理かも……。 若留? 大丈夫だよ、行こ、若留。 ロマンチックだねー。 あはは、それじゃ説得力ないよ、若留。 うん、マークの種類と数も一緒だね。 そんな感じ、するかも。 鍛冶野君……すごいかも。 時計……? 数えるの早いね……! わたしたち、インドの人じゃないもんね……。 綺麗に8が3つ並んでいるね。 うん、わたしなんかで力になれるかわからないけど……。 若留、ファイトだよ。 よくわかんないけど、きれいだね……。 あ……そういえば、壁に4って書いてあったかも。 前に迷った時にどこかで見たんだけど、うーん、どこだっけ……。 あの、わたし……その壁画見たことあるかも……。 ううっ、ちょっと怖いかも……。 あ、わたしもそれ、聞いたかも。 たしかに……転校してきて、そんなにたってないっていうのにね。 ふたりとも……仲良くしようよ、ね? どうしたの、若留? 早くしないと、遅刻しちゃうよ。 にゃあ。 それはこっちのセリフだよう……。 え、えっ? 若留?